【感想】「ゲド戦記」

「ゲド戦記」, 
日本,2006
宮崎吾郎 (TV)

B000OPPTN4 ゲド戦記
ブエナ ビスタ ホーム エンターテイメント  2007-07-04

by G-Tools

TV初放映ということで、見ました。
ジブリ作品はナウシカからリアルタイムで見続けてきて、そしてゲド戦記も原作を全巻読んで大好き、です。

Amazonのレビューざっと見たけど、大体皆さんと同じ意見かなぁ。
原作知らない人が見たら、なんだかよーわからん「かったるい」映画だったろうし、原作ファンからすれば「なんじゃこりゃ!!」な映画やったやろうと。
やっぱり、素人である宮崎吾郎氏にこの作品の監督をやらせてしまった、周りの責任が大きいと思う。
イメージボード1枚描けただけで監督任せるなんて、やっぱり正気の沙汰じゃなかったんやな(笑)、と思いました。

まぁ他にも批判めいたことはいっぱい書けますが、まぁいいや。
近年のジブリ作品は、プロモーション活動がうるさすぎて辟易させられながらも、作品にそれなりに力があるから許される、みないなところがあったと思います。
が、今回のゲド戦記は、プロモーション過多だけで終わっちゃったかなぁ。
絵や動きはそれなりにとてもよいのですが、やっぱり「映画」である限りは、脚本と演出に寄るところが大きいんですね。
ちょっと最近の鈴木プロデューサーのやり方には「?」と思うところが多いです。
(ただ、稼がないと、たくさんのアニメーターの生活が保障できないというのもあるのはわかります。ジブリは、昔のように、アニメーターが生活水準ギリギリのとこでがんばるといったひどい労働環境を改善したいという目標も持ってやってるらしいですから…)

そういえば「絵や動きはそれなりによいけど、脚本・演出がイマイチ…」というのは、もしかしたら、宮崎駿氏が批判していた、後年の手塚治虫氏のアニメーション作品そのものなんじゃないか、と今ちょっと思い当たり、皮肉やなと思ってしまいました。

そんな私、今は、高畑勲さんの演出の新作が見たいです。
高畑さんといえば、宮崎さんの先輩。
「火垂るの墓」の監督、そして、TVアニメ「赤毛のアン」「じゃりン子チエ」の演出をされた方です。
このTVアニメ2作、当時もそれなりに面白く見ていましたが、年を経るにつれて、あの作品の秀逸さを感じるようになってきました。とにもかくにも「素直に見れる娯楽作品」であり、人の感情に自然にスッと入り込む場面を作ってくれていたように思います。
(その後の「おもひでぽろぽろ」や「ホーホケキョ山田君」は、その頃の私にはそんな響かなかったんですけどね・・・・今見るとまた違う気もしてますが)

宮崎駿さんの映画も、高畑さんと二人三脚でやっていた頃までのが、私やっぱり好きなんですよね。(トトロあたりまで)
いわゆる「ジブリ」のカラーが完成する手前の時期の作品で、多少荒削りでも気にさせない強い魅力があったと思います。(ま、映画を見た頃の自分が、アレコレ考えないで全身全霊かけてアニメ映画に集中できちゃう子どもだったから、ってのもあるかもしれませんが。)

ああ、そう考えると、今更ながら、クリエイターって難しい。
苦労して自分のカラーを完成させても、その時点から魅力が減るなんてこともある。
完成したら、次はどこかを壊さないと次に進めない。
でも壊すと周りから批判される(笑)。板ばさみ。
表現者はやっぱり苦悩の連続なんやな…。

まぁ、自分の表現者のはしくれですが、板ばさみみたいな思いをすることは、まだまだまだまだ先だと思いますけど…(笑)

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