【感想】ハゲタカ

ハゲタカ」,日本,2009,大友啓史,(映画館)

いやぁ~、TVドラマからファンの人にとっては絶対満足できるであろう作品。
何せ、なーーんも変わってない(笑)
キャストも、それぞれのキャラクターも、展開の仕方もカメラワークも画面の色合いも、あの音楽も。
鷲津のあの名台詞も満載。

そういう意味では安心の一品。
逆に言うと、映画だけ見た方には、その面白さが半減しちゃう気がする。
それでも十分見ごたえあるとは思いますが。

(ここから若干ネタバレ含む?)

話の大枠は、超ベタです。
かつて、伝説となるような活躍をした主人公(鷲津)が、今は半リタイヤして南の島?で飲んだくれてるところに、かつての戦友(芝野)が現れ、助けを求めに来る。
主人公は最初反発したものの結局舞い戻ってくる。迎え撃つのは、昔の自分とそっくりの若者…
戦いの火ぶたは切って落とされた!ジャーン♪←おなじみのテーマ曲
…てな具合。

会社の乗っ取り、株の買いつけ等々、TVドラマの時はそのへんのファンド関連豆知識も教えてくれるみたいな側面があったけど、今回の映画はもっとシンプルに単純になっていて、登場人物たちの生き様をドラマチック・ロマンチックに歌い上げている感じがしました。
脚本自体は、細かいところを気にしだすと突っ込みどころ満載な感じですし、劉と派遣労働者のくだりはちょっと違和感を感じたりもしましたが、全体通して「人間を描く」という視点はしっかりしていたと思います。
(NHKらしく、小道具やセットも完成度高くてリアリティがありました)

そして、TVドラマのときから思っていましたが、このドラマのいいところは、誰も間違っている人はいない、誰もが自分なりの流儀や筋を通して必死に生きているんだと思えるところです。
世の中、正しいことは○○だけだ、なんて安易に言えない時代なんだと痛感します。

今も相変わらず金融のことには疎いままの私ですし、何も生産せずにお金を転がす商売というのは、全然ピンときません。
こういった人たちが確かにいて、こういった人たちの流れに乗って自分が生きているんだと、その事実は意識せなあかんと思っています。

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玉山鉄二は、どうかなぁ~とちょっと心配だったけど、予想以上によかった。
あまりオーバーに走らず抑えた感じでしたが、狡猾さや哀しさは十分出てた気がする。

でもやっぱなんといってもいいのは、鷲津を演じる大森南朋!
いやぁ、もう、かっこいいったらなんてったら。典型的なハンサムというわけではないのですが。
これでもかっつーくらい繰り返される顔のどアップにうっとり。
あの暗ーい目も、少し乾いた声も、そして全体的にそこはかとなく感じる色気も最高!

私の中で金城武と双璧をなす存在です。←何様やねん。

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しかしこのドラマを見たあとはいつも「私こんなフワフワした仕事だけしててええんかいな…もっと日本の役に立つって思えることをせないかんのではないか?」という自責の念?を無駄に感じちゃったりしちゃいます…(笑)

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