【感想】アーシュラ・K. ル・グウィン「ゲド戦記」
小説,アーシュラ・K. ル・グウィン Ursula Kroeber Le Guin,岩波書店,清水真砂子 訳
「ゲド戦記 1 影との戦い」 ,
「ゲド戦記 2 こわれた腕環」,
「ゲド戦記 3 さいはての島へ」,
「ゲド戦記 4 帰還」,
「ゲド戦記 5 アースーシーの風」,
「ゲド戦記別巻 ゲド戦記外伝 」
この2ヶ月くらいで少しずつ読み進めて、やっと一通り読みおわった。
4巻までは再読。ただしけっこう内容は忘れていた。
きちんと感想を述べたいのだけど、難しい。
私はこの本にすごく魅力を感じて、すごく好きだということくらいしか断言できない。
1~3までは、みずみずしい、若者らしい雰囲気に、影が見え隠れする感じだが、4巻以降ガラッと雰囲気が変わって、急にリアルに、大人向けになる。
特に4では、中年女、農婦のテナーが中心の物語。
昔は特別な存在だったというエリート意識をどこか少し残しつつ、でもあえて選んだ普通女の人生を肯定し続けるテナー。
そして力を失って故郷に帰ってきた、熟年のゲド。
二人はいろいろ失って、何も持ってないが、それは若い頃の何もない状態とは違う。
積み重ねた経験やプライド等がじゃまをして、新しい生活をはじめるということが、あっさりとはできない。
でもなんとなく毎日何かをやってしまうテナーと、しばらくぼんやりしてしまうゲドが、女と男の差をはっきりと浮き彫りにさせていて、なかなか強烈。これはもう子供向けのファンタジーではないなぁと思う。
描かれている情景は、思わず映像にしたくなるものが多いけど、でも、映像されてしまうと「ことばを味わう」というこの本の醍醐味が薄れてしまうので、難しいとは思う。
自分の時間で読み進めて味わうことで、世界が広がる本だと思う。
なかなか感想を述べるのが難しい。
またいずれ書き直ししてみようと思う。
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