【感想】「おくりびと」
「おくりびと」,日本,2008, 滝田洋二郎,(映画館)
ええ映画でした。
評判やら、いろんな人の感想やらを聞くだけ聞いた後の感想なので、先入観なしに見ることはムリでしたが…。
ちょっと予想外だったのは、この映画はまさしく「娯楽映画」だったこと。(私はそう思った)
見ようによっては、非常にロマンチック、いやファンタジーかとも思わせるところもありました。(特に、物語後半の、銭湯のおばちゃんが亡くなってラストに至るまでのくだり)
人の美しいところ、優しいところが全面に出ていて、本当にシンドイところ、汚いところはほんのちょっとさわりを感じさせるだけにとどめてありました。
脚本も演出も特に奇をてらったところがなく、真正面から淡々としっかり描いていました。
とにかく題材(人の死体を扱うという仕事)が強烈なだけに、あとは、俳優の演技と、空間・音楽・雰囲気で魅せるだけで十分だったんでしょう。
だからこそある意味映画らしい、誰でも見て楽しめる映画になっていたのかなと思います。(そしてだからこそ、ハリウッドで賞をとったんやろうな~)
私はやっぱり映画は娯楽!って思っているので、こういう映画はええなぁと思います。
こういう題材を娯楽を通じて見せてくれる、考えさせてくれるって、ただ単に説明されるだけよりもはるかに印象的に深いものとなって人に伝わるもんだと思ってます。(もちろん、それは事実と違うことを強く演出して伝えてしまうという危険もはらんでいるのだけれど)
以上、いろいろもったいぶった言い方しましたけど、マァでも私も、後半1時間はずっと涙ぐんで見てました。
いろんなことを思い出しながら、いろんなことを考えることができました。映画館で見れてほんまよかったです。
ところで、いろんな人から「広末がイマイチ」ってのを聞いてたので、それを覚悟して見に行ったせいか、思ったより気になりませんでした。多分知らないで見たらいろいろ鼻についたんでしょうけど。
淡々としたこの物語に、アクセントというか、ちょっと浮いた華やかな存在として置きたかったのかなぁと思います。他の素晴らしい俳優人と完全になじむくらいだと、埋没しちゃって面白みに欠けると思ったのかも。
まーでも、ホントに演技の上手な方なら、ちょっと浮いてる変なキャラクターでも、ちゃんと観客の大半に受け入れてもらえるよう演ずることができるでしょう。だから、広末は演技じゃなくてそのキャラクター・雰囲気で今もってるんだろうなと改めて思いました。
(いやーそれにしても山崎努ってばすごい俳優やとつくづく思った。)
ちなみに、私が遺体を初めてまともに見たのは高校2年のときでした。
私は、20歳までになぜか10回くらいもお通夜・お葬式に出たのですが、20歳以降は今にいたるまで一度もありません。(機会はないこともなかったのですがタイミング的に出席できないこともあって)
あの雰囲気は不思議で奇妙で、悲しいのに変に冷静でもあったりして。そんなことも思い出しながら見ました。
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