【感想】田辺聖子「花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女」
田辺聖子,「花衣ぬぐやまつわる…わが愛の杉田久女」,集英社文庫
花衣ぬぐやまつわる…(上) わが愛の杉田久女 (集英社文庫) 田辺 聖子 集英社 1990-06-20 by G-Tools |
花衣ぬぐやまつわる…(下) わが愛の杉田久女 (集英社文庫) 田辺 聖子 集英社 1990-06-20 by G-Tools |
亡母の本棚から拝借。
不勉強のため、杉田久女のことも全く知らず。
しかし、こんなに俳句について素養がない私にとっても、この本は面白く、最後までぐいぐいとひっぱりこまれてしまった。田辺聖子センセ、さすがです。
「ひねくれ一茶」も絶対読も!
ジャンル的にはこれは、随筆、でええんでしょうか?ドキュメンタリーではない。伝記でもない。もちろん小説でもない。
膨大な資料を一つ一つを読み解き、関係者とゆかりの地を取材をし、そこから得た知識と自分自身の教養をもって、、そしてご自身の見方と断った上で、 一人の女性芸術家の姿をとても魅力的に描いてくれました。
最後のほう、久女と長女の昌子さんとの最後の時間(といっても本人たちは最後とは知らない)ところが、なんだかどうしもようなく泣けて泣けて・・・。母と娘の、難しさがひしひしと伝わってきて。
うちの母と久女を比べるのも何ですが、どこかああいう「純粋さ」と「鬱屈」を抱えてたところがありまして。
昌子さんの「甘えたいのに甘えられない。もう離れたい。優しい言葉をかけてあげたいけど、でてこない」といった心情が、手に取るように分かってしまいました。
母はもう亡く、だからといって、生きてたらどうこうなった、と言うこともないんやろうけど。
ところで、ろくに俳句について知らんまま、「高浜虚子ってなんて嫌なおっさん!」というイメージだけがついてしまいました。「坂の上の雲」の正岡子規の弟子だったころは、あんなかわいい兄ちゃんやったのに(笑)。
「虚子は久女のことがキライだった」という、一見単純すぎる見方は、いやいやありえるで、と思われます。
げに恐ろしきは男の嫉妬、ちゅうやつ?
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