【感想】田辺聖子「ブス愚痴録」
田辺聖子、「ブス愚痴録」,文藝春秋
ブス愚痴録 (文春文庫) | |
田辺 聖子
文藝春秋 1992-03-10 |
短篇集。
すべて、男による語り。いろんな男が、いろんな女のことを語る。
1本目の「泣き上戸の天女」が、かわいらしくておかしくて、そして切なくてたまらんかった~。
春日大社での初デート(?)の様子が、絵としてきれいに浮かびあがってくるようだった。
一緒に食事をしている場面も、描写が細かく、おいしそうでたのしそうで。
ラストは、男の寂しさが骨までしみるようで、容赦がなく、でもなんだかおかしみがあった。
田辺サンに限らず、いい作家さんというのは、同性だけでなく異性の好みや考え方がなんでこんなにわかるんやろ、と感心する。
太宰治の「人間失格」を初めて読んだ中学生の時に、初めてそれを思った。
今、朝ドラでやってるクドカン脚本の「あまちゃん」も、母と娘の関係のめんどくささの描写がうまいなぁ~と思う。
大好きな朝ドラ「カーネーション」も、糸ちゃんのお父ちゃんが、どうしょうもなく子供っぽくてプライド高いのに愛情深くてかわいらしくて。
自分でストーリー漫画を書こうとしても絶対こんな風にはかけないし(そりゃ当たり前)、それで自分にがっかりするのがイヤで、いまだ踏み出せないのです。
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