【感想】万城目学「鴨川ホルモー」「ホルモー六景」
小説,万城目学,「鴨川ホルモー」,角川文庫
小説,万城目学,「ホルモー六景」,角川文庫
鴨川ホルモー (角川文庫) | |
万城目 学
角川グループパブリッシング 2009-02-25 |
ホルモー六景 (角川文庫) | |
万城目 学
角川書店 2010-11-25 |
ハマった!!!
今まで読んだマキメ作品で、この、デビュー作とそのスピンオフ短篇集が私にとってはダントツ一番でした。
この、世界観、雰囲気、・・・・たまりません。
子供のころ「ふしぎの国のアリス」や「ナルニアの国シリーズ」のような、異世界の冒険譚に熱狂した覚えがあって
かつ、
「探偵!ナイトスクープ」のような番組をこよなく愛するタチ
の人なら、まちがいなくハマるでしょう。
・・・ってそれ、私だから・・・(笑)
マキメさんの作品は、現実世界と異世界が完全にシームレスなのが、うれしい。
冒険譚でありがちな、お話の最後は異世界から現実世界から戻ってきちゃった後の、祭りの後的なもの寂しさ、がない。
異世界との交流が開かれたとしても、登場人物の生活の一部が変わるだけで、彼らが急にスーパーマンになるわけではなく、日常生活は続く。
大学生らしく、勉強、恋や友達付き合い、それらに流される生活。貧乏との戦い。バイト。等等。
怪しいモノを使う選ばれし者になっても、ふだんの移動手段は相変わらず自転車のまま、だったりするのが、いい。
異世界との暮らしは、いつもどこかで続いている。終わりがない。いつまでも余韻が楽しめる。
おまけに、大学生活の描写が、ほんとうに「らしく」て、経験者なら誰でも懐かしく、時にはイタい感覚とともに思い出がよみがえるんじゃないかしら。
マキメさんは、この2冊の本を読むだけでも、歴史・地理・文学、果ては数学的なエッセンスまで幅広く取り込んでいて、知性と教養がほとばしっているのがよく分かるのだけど、それが嫌味じゃない。
「この人頭いい!すごい!」ではなく
「この人こんなバカ話つくっちゃって何考えてんの?アホとちゃう?(笑)」と思わせるレベルにまで達してるのが、すばらしい。
梶井基次郎や維新の志士たち、そして新島襄やクラーク博士までホルモーに関わってることにさせちゃうなんて、図々しいにもほどがある(笑)。でも、「も、もしかしたら本当にそうかも?いや、それはないな・・・、でも、ウケるわコレ」って思わせてくれる話になってる。
小難しさを感じさせずに、アホでおもしろい話にしてくれるなんて・・・
なんてカッコええんや。
と、えらいベタ褒めになってしまった。
文学的に良いか悪いかは別にして、とにかく私は大好き!!
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