【感想】米原万里「オリガ・モリソヴナの反語法」
小説,米原万里,「オリガ・モリソヴナの反語法」, 集英社文庫
集英社
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超、おもしろかった。
小説で、スターリン時代の大粛清に関してがっつり描いたものって、ちゃんと読んだの初めてかもしれないな。
恐ろしくて恐ろしくて、でもそんな恐ろしい目にあっても、生き延びる人もいる事実も、不思議としかいいようがない。
人間を、悪人とか善人とかって分けることって意味ないんやなぁってつくづく思う。
時代によって、場所によって、その相手によって、同じ人間でも言動は変わる。
どのタイミングで接するかで、印象が変わる。
ずっとヒドイことばっかりし続けてるような人だって、たまに優しいことをするときだってあるだろうし、
他人には冷たくても家族だけは温かい人もいる。
それが人間社会だし、どこで生きるか、自分で選べないんだよなぁ。
付録の対談で、米原さんが「人間を商品として考えないところが社会主義のいいところ」と言っていて、なるほどと思った。
今、世界的に資本主義手動の時代で、何もかもが「商品」として「儲かるかどうか」、「競争に勝てるか」で判断されてしまうと言われている。一方で、政治的には八方塞がりになっているとも言われる。
社会主義って、100年前の話じゃなくて、今こそ見なおしてみるべきなのかもなぁ。
もちろん、社会主義的な考え方自体は残り育っていて、福祉とか社会保障とかがあるんだろうけど、
もっと根本的な部分で社会主義的なものを取り入れたくにづくり、ってものを目指さないといけない段階になったのかもしんない。
ソビエトも中国もポシャったけど、もっと小さな国のどこかが実現するのかも。いやもう実現してるのかなぁ。
・・・なんて、不勉強な私がふと思った戯言です。
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