【感想】カズオ・イシグロ「日の名残り」
小説,カズオ イシグロ Kazuo Ishiguro , 「日の名残り」 The Remains of the Day , ハヤカワepi文庫, 土屋 政雄 訳
今年は春以降、全然、本読んでないなぁ・・・。
再放送している朝ドラ「カーネーション」に入れ込み過ぎているからか?(笑)
以前読んだことがあるような覚えがあったけど、勘違いだったみたい。
アンソニー・ホプキンスが好きなので、映画も見たような気がしていたけど、これも記憶違いのようだ・・・。
アカン、年だわ。
この話を、退屈だと思わずに、淡々と毎日少しずつ読めたことも、私が年をとった証拠かもしれない。
「カッコイイとは、こういうことさ」っていうキャッチコピー(「紅の豚」)が昔ありましたが、この物語はまさに
「哀愁とはこういうことさ」そのものだと思います。
盲目的に人(同性)に尽くす、というのは、私は、男性の特権のような気がしているんですよね。
女性は、同じ女性に対して、好き・嫌いを超越して「従う」ってことを、どうしてもできない気がするんですよねぇ。
この物語は、それ故の悲劇を、悲劇らしくなく淡々と、ひたすら淡々と描かれているのが、とても美しいと思いました。
尽くしつづけた元の主人は、社会的地位を失墜し既にこの世の人ではなくなり、惹かれ合っていたはずの女性との関係は、とっくの昔に失われたことを今更になって突きつけられてしまう。
それでも、現在のアメリカ人の主人に使えるために、ジョークの練習をしようと決心するいうオチ(?)は、悲劇に埋没しきらず、ユーモアがきいていて好きだな。
後から調べてみると、映画は、いろいろ設定が変えてあって、原作を知ってから観るとモヤモヤするようだけど、美しいイギリスの田園風景を、映像で見るだけでも価値はありそうだナ。
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