【感想】西加奈子「ごはんぐるり」
エッセイ,西加奈子,「ごはんぐるり」,NHK出版
「ガープの世界」は面白かったが、読むのになかなか骨が折れたので、ちょっと軽いものを読みたくなった。
TVなどで見る西加奈子さんは、とても面白くて、でも言葉づかいがきれいで好感が持てる人だったが作品はまだ読んだことがなかった。
直木賞受賞作の「サラバ!」より、明石家さんまが映画の興行権を買ったという「漁港の肉子ちゃん」をまず読んでみたかった。
しかしその時図書館の棚になかった。じゃあお試しということでこのエッセイを選んでみた。
結果、予想以上に楽しく、共感ポイントが高くてあっという間に読んでしまった。
特に最初の「肉じゃがバター」で語られた、「自分の作品について感想を言ってもらうことはもちろん嬉しいのだが、(ご飯を作ってあげた時に)その場ですぐ相手の反応を感じられる喜びにはかなわない」というのがドンピシャだった。
私はゴハンづくりではなく、演奏家や歌手、人を育てる仕事(保育園から学校まで)している人にそれを常々感じているのだ。
描いている時の感覚をほぼ忘れた頃に、人から見てもらって反応を得るのは、嬉しいけれどなんだかピンとこないこともあるのが正直なところなのだ。
ごめんなさい、贅沢やなって分かっている。でも、どうしても消せない感覚。
「活字のごはん」の話も非常に共感した。
外国のお話に出てきた「ライスプディング」に私も憧れたなぁ。
日本の小説なら、田辺聖子さんと向田邦子さんは双璧。特に田辺聖子さんの、高野豆腐の煮物の描写は、味わってお腹が膨れてくるような幸福感があった。(ただ、どの本に出てきたかはもう覚えてない・・・)
次こそ西さんの小説を読んでみよう。
人によってけっこう合う合わないがあるみたいだけど、とりあえずこのエッセイはかなり私には合った。
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