【感想】NODA・MAP「逆鱗」
「逆鱗」、NODA・MAP、作・演出 野田秀樹、(東京芸術劇場 プレイハウス)
いやぁ、よかった・・・。もう言葉にならない。
すごく怖かったし、こんなものを想像して表現できるのが、本当にすごい。野田秀樹すごい、こわい、すごい、こわい。
詳しい感想はまたいつか。
こちらのレビューがものすごく、よくまとまっている。
NODA・MAP「逆鱗」 強烈な視覚効果を生む奇想 :日本経済新聞
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さて。2日経って感想を書いてみる。(ネタバレあり)
基本的にリンクした先の劇評とほとんど同意なのだが・・・(当然ながらあっちのほうがずっと上手でわかりやすい)。
NODA・MAPは3回目の私。前半で、後半で明かされる真のテーマへの布石が散りばめられていると分かって見ていたのだけど、それでもこの「人魚」が何を表すのか、なかなか分からなかった。
後半30分で一気に「魚雷」であることが明かされるのが、急すぎるゆえによけいに衝撃的だった。
前半で、しきりに「上の命令で・上の話をきいてから」と連発していたこと。目的がよくわからないまま、志願して集まった素人たちで行われる潜水の訓練。謎の電報(暗号)。「沖の船が見えたら」「でもあの船はこちらには来ない」「母親よりも子どものほうが先に死ぬ」等々、すべてが太平洋戦争末期の日本海軍の愚行(と今だから言えるのだが)の暗喩だったとは。これに気がついてすぐ「あぁ、もう一度最初から見直したい!!」と痛烈に思った。
ラストシーン間近、瑛太演ずる兵士が人間魚雷「回天」で出撃したにも関わらず、海の底に落ちて一人ぼっちで死を待つだけになったところ、本当に怖かった。
知識としてはあったこの事実に対して、フィクションを通じて初めて感情を持った。気が狂いそうになる恐怖、無力感。
野田秀樹、ほんとすごいわ。怖いわ。見てきたようにウソをついているのかもしれないけれど・・・。
斬新で見たことがない、美しい海・波の演出にうっとりしながら、最後の松たか子演ずる人魚の叫びに、ゾッとする。
演劇好きな方にも、見たことない人にも、とにかく見て欲しいと本当に思う、素晴らしい舞台だった。
映画やTV、もちろん小説でもこの感覚は絶対伝わらない。演劇だからできるこのパフォーマンス。
文字や言葉で理屈を並べることなく、パフォーマンスそのもので、なぜその表現手段を選んだかも強烈に納得させられた。
脚本・演出・美術・音楽。役者みなが一流で、かつ、一人の強いリーダーがまとめあげているからこそだろう。
ちなみに今回、2階席の1番後ろからで、舞台全体が俯瞰できるのはよかったが、役者の表情まではほとんと見えなかった。
しかし、それぞれの心情は確実に伝わってきた。特に、やっぱりというべきか、阿部サダオはユニークかつ繊細だった。そして、松たか子は花があるね。
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