【感想】森絵都「ラン」

小説,森絵都「風に舞い上がるビニールシート」,角川文庫

ラン (角川文庫)
ラン (角川文庫)

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森 絵都
角川書店(角川グループパブリッシング) (2012-02-25)
売り上げランキング: 96,106

先日、新作の紹介で森絵都さんがラジオに出演されていて、そうだ、この人の作品をまた読みたいと言っていたことを思い出した。しかし本はまず借りる派の私、図書館で適当にみつくろってきた。最近小説を読んでいなくて、文章がつむぐ物語世界に埋没したいと思っていた所だった。

最初は、オカルトチックというか、ファンタジーな設定に戸惑い、主人公のとことん後ろ向き姿勢がつらいなぁと思っていたが、結局後半に差し掛かるとグイグイとひっぱりこまれた。
ラスト4分の1くらいは一気読み。

筋立てとしてはよくある話だと思うし、予想外のことがそれほど起きるわけでもない。ご都合主義とも取れる展開も多々ある。
でも、最後まで白けず楽しめたのは、主人公の環の変化が、とても丁寧に描写されていたからだと思う。

何かのきっかけ一つでガラリと変わるわけではなく、行きつ戻りつしながら、でも最初と最後を比べたら、まるで違うところにちゃんと到達している。
しかも良い方向に。明るい「生」を感じさせてくれるところに。
読み終わってからもすがすがしく、じーんと余韻が残った。

さぁまた違うのを図書館に借りに行こう!(作家さんごめんなさい)

 

私が読んだ森絵都 作品

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