【感想】椋鳩十「マヤの一生」
椋鳩十「マヤの一生」
以前、イベントで、脚本家の渡辺あやさんが、「自分を形作った本」のひとつとして紹介していた。
椋鳩十は、たぶん、教科書でしか読んだことがない気がする。そして、このマヤの一生も、読んだのかもしれないが、覚えていなかった。
読んで、とても悲しく恐ろしかった。子供の頃はすこし内面がこまっしゃくれていたから、これを素直に「かなしい」「おそろしい」といえなかった。
一番恐ろしいのは、マヤを殺すように仕向けた人たちが、なんてことない、普通のひと達だったということ。
強い主義主張もなく、人の良いやさしい人達。でもその人達が、犬を引き渡さざるをえない状況に追い込んだ。
子供の頃は、理屈で、そういうものか、と思っただけだった。
今はあの頃より、実感を持って、普通のひとたちが悪気なくやることが、最悪のことを招くと、わかるようになった。
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