【感想】 逢坂 冬馬「同志少女よ、敵を撃て」早川書房
逢坂 冬馬「同志少女よ、敵を撃て」早川書房(Amazon Audible)
Amazon Audibleで聴くのも慣れてきた。朗読する人の声色で余計な印象がついちゃうと警戒していたが、ま、それはそれで割り引いて聞けばいい、という割り切りができてきた。
このお話、聞きはじめの頃は、どうも漫画っぽいな、と思っていたのだが、聽いているうちにどんどん引き込まれていて、最後のほうは一気に聴き入った。ソ連(ロシア)の戦場が舞台という、タイムリーな題材。克明に描かれる、第一世界大戦・独ソ戦。少女たちの境遇の過酷さ。親の仇である強力なライバル、絶対的な師、運命のいたずら的な展開…とにかくエンタテイメントの要素てんこもり、よく出来ているので、読んでいる(聽いている)ときは集中し、ああ、戦争はホント嫌じゃと哀しくもなった。
が、聞き終わってみると、やっぱり最初の「漫画・アニメっぽかった」という感じがまた強くなってきた。
キャラクターの性格や、同僚の女性たちの性格付けと配置が、女の子ばかりの集団(軍隊)で戦う系のアニメっぽい気がする。
熱血系・かわいい系・クール系、とか、カテゴライズしやすい感じ。
作家が男性だから、というのはよくない先入観だと思うのだけど、やっぱりそのせいなのかなと勘ぐってしまう。
女性の物語なのだけど、あくまで外側から見た女性で、きれいで整っていすぎる。
ま、そこはこの小説の主眼じゃないだろうけど。もっと現実的で即物的でダブルスタンダード、生っぽい女を感じてみたかったなー。
しかしここまでくると「戦争は女の顔をしていない」も読まねば!という気になってきた。
Audibleにあったので、ライブラリーに入れておく。
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