【感想】NODA・MAP「兎、波を走る」

兎、波を走る」、NODA・MAP、作・演出 野田秀樹、(新歌舞伎座)

今回は、ここ最近見た2作と比べると、早い段階で何を表しているのかが分かった。(「拉致」という言葉が出てきたあたりだろうか)

このテーマに切り込むとは…と前回も思ったけれど、でも前回よりもさらに重い、重苦しかった。
都合よく、忘れようとしている自分たちに、刺さる内容。

「妄想するしかない世界」と「もう、そうするしかない世界」、さらに「仮想現実」…。
いつもながら、こんな言葉遊びが、真実を言い当てている気がしてならない。

でもひとつ不満を言うと、AIを表現するのに、初音ミクみたいなボーカロイドの投影だったのが、野暮ったいなぁと思った。
全体的なまとまりは、前作「フェイクスピア」よりも欠いていて、終盤は冗長にも感じた。モヤモヤが残る。

…といいながら、家に帰ってから、よど号ハイジャック事件や安明進、拉致被害者の記事などを、Webでつらつらと読み続けていた。
まさに、野田秀樹の狙い通りだろうか。そして読めば読むほど、やはり、重く、モヤモヤが残る。

役者さんは最高でした。
フェイスクスピアのときと同じく、高橋一生は出来過ぎくらい出来過ぎ。
松たか子の力強さとかわいさ、多部ちゃんの可憐さ(特にあの声)!

大倉孝二くんは、今回もやっぱり唯一無二でした。どこで何やってても、おもしろいわー。

今まで見た野田秀樹 作品

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